大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和49(あ)1339 判決

主 文

原判決中、「当審における未決勾留日数中一六〇日を原判決の刑に算入

する。」との部分を破棄する。

原審における未決勾留日数中一一〇日を本刑に算入する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について。

記録によれば、被告人は、本件窃盗の公訴事実について起訴前である昭和四八年

七月一二日勾留状の執行を受け、その後第一、二審を通じ引続き勾留を継続されて

いたものであるが、その間、同年一一月一六日第一審判決の宣告を受け、これに対

し同月二四日控訴を申し立てたところ、原裁判所は、昭和四九年五月二二日右控訴

を棄却するとともに、「当審における未決勾留日数中一六〇日を原判決の刑に算入

する。」旨の判決を言い渡したことが認められる。他方、被告人は、昭和四八年四

月一三日横浜地方裁判所川崎支部において銃砲刀剣類所持等取締法違反罪により罰

金一万五〇〇〇円に処せられ、同裁判は同年同月二八日確定し、さらに、同年五月

一一日神奈川簡易裁判所において暴行罪により罰金四万円に処せられ、同裁判は同

年同月二六日確定し、以上の各罰金刑の換刑処分としての労役場留置の執行が、本

件の未決勾留中である昭和四八年一一月一七日から同四九年一月一〇日に至る間引

続き行われたことも、本件記録上明らかなところである。

ところで、右のように未決勾留と競合して罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執

行が行われた場合には、その重複する部分の未決勾留日数を本刑に算入することが

違法であることは、論旨引用の当裁判所昭和二九年(あ)第三八九号同三二年一二

月二五日大法廷判決・刑集一一巻一四号三三七七頁の趣旨及び昭和四六年(あ)第

二〇一〇号同四七年四月一三日第一小法廷判決・裁判集刑事一八四号一一七頁によ

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り明らかなところであるから、原審における未決勾留日数のうち被告人の本刑に算

入することの許される日数は、前記労役場留置の執行が終了した日の翌日である昭

和四九年一月一一日から原判決言渡の日の前日である同年五月二一日までの一三一

日にすぎない。しかるに、原判決は、これを超えて原審における未決勾留日数一六

〇日を第一審の刑に算入する旨言い渡したものであるから、前記判例に違反したも

のであり、上告論旨は理由があるといわなければならない。

よつて、刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決

のうち被告人に対し原審における未決勾留日数中一六〇日を第一審の刑に算入した

部分を破棄し、刑法二一条を適用して原審における未決勾留日数中一一〇日を本刑

に算入することとする。原判決のその余の部分については、上告趣意としてなんら

主張がなく、したがつてその理由がないことに帰するから、刑訴法四一四条、三九

六条によりこれを棄却し、当審における訴訟費用については、同法一八一条一項但

書により被告人に負担させないこととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり

判決する。

検察官住吉君彦 公判出席

昭和四九年一一月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 天 野 武 一

裁判官 関 根 小 郷

裁判官 坂 本 吉 勝

裁判官 江 里 口 清 雄

裁判官 高 辻 正 己

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